『葬式組曲』文春文庫版

カバーイラスト:M!DOR!
カバーデザイン:関口聖司
発売日:2022年11月8日
定価:750円(税別)
出版社:文藝春秋


20代の女性社長・北条紫苑が率いる「北条葬儀社」。妙な関西弁を喋る餡子、寡黙で職人肌の高屋敷、生真面目すぎる新入社員の新実……癖の強い社員が目立つが、遺族からは「あの葬儀社は素晴らしい」と抜群の評価を得ている。なんと、彼らには故人が遺した“謎”を解明する意外な一面があったのだ。奇妙な遺言を残した父親、火葬を頑なに拒否する遺族、霊安室から忽然と消えた息子――。謎に充ちた葬儀の果てに、衝撃の結末が待ち受けるミステリー連作短編集。文春文庫化にあたり全面改稿。

版元のサイトより

2012年に原書房から単行本で上梓し、2015年に双葉社で一度文庫にしてもらった小説の再文庫版です。帯がつくとこうなる。

表紙は、今回も担当さんに丸投げ。「クラシックなミステリー」という雰囲気で、かなり気に入っています。担当さんは、ショートムービーもつくってくれました。ぜひご覧ください!

再文庫化の経緯

双葉文庫版は、正直、ちょっとびっくりするレベルで売れませんでした。でも単行本版は、ミステリーの賞にノミネートされたり、ランキングに入ったりと評価が高かったんですよね。「評価」という基準だけなら、実は天祢涼史上最高レベル。

なので、双葉社さんの編集部と話し合って契約を解除。もう一度、他社で勝負させてもらうことにしました。

そのくせ移籍先をさがすでもなく放置していたのですが(いや、お仕事が増えて時間がなくなったことが理由なのでありがたいんだけど)、光栄なことに『希望が死んだ夜に』を立ち上げてくれた担当さんから声がかかり、文春文庫で出せることになりました。

もちろん、文春編集部に感謝ですが、これは『希望が死んだ夜に』を始めとする仲田シリーズが評価されたからこそ。応援くださった方々にも御礼申し上げます。

八重洲ブックセンター本店さんでは、10年近く経った単行本版のサイン本をたくさんつくらせていただき、それが完売したことも大きいと思います。八重洲のスタッフさんにも改めて感謝です。

改稿について

あとがきにも少し書きましたが、旧版を出したときとは葬儀を取り巻く状況が激変したので、物語の根幹を成す設定を一つ削除しました。また、旧版はいま読み返すといろいろ気に食わないことがあったので、ほぼすべて書き直し。細かい設定や展開がいろいろ変わってます。興味がある人は旧版と読み比べてみてください。

何人か読み比べてくれた人がいるのですが、「昔といまの天祢涼がいい案配で入り交じっている(意訳)」というお言葉をいただきました。

書き終えたいま、思ってること

天祢涼は以前、デビュー作『キョウカンカク』を文庫化にあたって全面改稿したことがあります。あのときは間が3年ちょっとでした。『葬式組曲』は間が10年ちょっとです(単行本版と双葉文庫版はほぼ同じ)。いやー、読んでて小っ恥ずかしくなったわ(^_^;)

でも「駆け出しの作家が一生懸命ミステリーを書いてるなあ」と微笑ましくもなりました。映画が始まる直前まで伏線回収の辻褄合わせをノートに書いていたことをなつかしく思い出したり。

最初に『葬式組曲』を書いたときは、全然お仕事がなくて、一部からは「来年は業界にいない作家」と見られていました。それが10年以上生き残って、全面改稿の機会までもらえたのだから、人生はわかりません。

もちろん自分なりに必死に努力はしましたが、そんなのはやって当たり前。そこから先は運だと思っています。その「運」に恵まれたのは、応援してくれている人たちのおかげ。何度も書きますが、本当にありがたいですm(_ _)m

『葬式組曲』文春文庫版はせっかくもらったチャンスですし、この後に出す予定の新刊『Second Coming(仮)』は仲田シリーズ以外では初のシリアス路線ミステリーなので、この2冊はなんとしても売りたい!という思いが強いので、必死に宣伝ツイートなどさせていただきます(`_´)ゞ

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ABOUT US
天祢 涼
あまね りょう
第43回メフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家です。代表作は次回作。読んだ人の胸を抉るようなミステリー、胸きゅんラブコメなミステリーを世に送るべく日夜模索中。このブログでは仕事情報のほか、MacやiPhoneのネタ、猫写真などをアップしております。

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