いつもと違ってまじめな記事です。
公私でちょっと慌ただしくしておりブログに書くのが遅くなりましたが、SNSでは既報のとおり。
先週刊行された『どうせ死ぬなら殺してみませんか』の奥付とカバーに誤植が見つかりました。編集部が気づいたのが、刊行直前。私もすぐに教えてもらいました。その後、対応を話し合いまして、上記のリンク先にもあるとおり、交換対応させていただくことになりました。
該当箇所を修正した良品をご用意いたしますので、ご希望される方にはご購入いただいた本と交換を承ります。
今後はより一層のチェック体制を徹底し、再発防止に努めてまいります。
引き続きご愛顧のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。【交換対応の受付窓口】
実業之日本社 受注センター
電話:048-478-0203 (平日 10:00~16:00)
お電話で受け付けいたします。
ご連絡の際は、お手数ですがご購入書店名、住所、氏名、電話番号をお知らせください。
送料小社負担でお取り替えいたします。
ということなので、手許に誤植版がある人は上記部署にご連絡ください。
こう言ってはなんですが、ミスは誰にでもあります。私だって出したことはあります。ただ、今回は「本の戸籍」とも言える奥付でのミスに加えて、カバーでも間違いがあるということなので、なにもしないわけにはいかないという結論になりました。読者さんはもちろん、書店さんにもご迷惑をおかけします。
なお、「奥付を著者は確認しないのか」という質問をいただきました。ほかの人のことはわかりませんが、自分の場合は「本による」としか言えません。本編と一緒にゲラが同封されてくることもありますし、PDFで奥付だけもらうこともあります。ただ、自分は見せてもらわないことの方が圧倒的に多いです。ちゃんと確認したわけではありませんが、「奥付は出版社側の責任でつくります」と考えている人が多いのかもしれません。
今回の奥付も、事前に確認していません(天祢の「祢」の字は「袮」と間違えられることが多いので、事前に見ていたらさすがに気づく)。カバーも、表表紙と裏表紙、背表紙しか事前に確認しておらず、誤植が出た箇所は見ていませんでした。
今後は奥付を見せてもらいたいところですが、版元の方針によるので確実なことは言えません。
最後に。やや脱線しますし、普段はこういうことをあまり書かないようにしているのですが。
時折、「天祢センセイはいい人」と言われますが、それはデビュー後しばらくの間、複数の編集者と揉めたため「これではいけない」と態度を改めただけであって、決して「いい人」ではありません。「厳しいだけではだめ。関係者になるべく気持ちよく仕事してもらったほうがいい本になる」という持論を抱くようにもなったため、できるだけ丁寧な対応を心がけていることは事実。それが「いい人」という評判につながっているのかもしれません。
とはいえ、「天祢は怒らないからこれくらいの対応をしてりゃいいだろw」的な態度を取る編集者や、許せないことをした編集者には強い態度に出ます。「こいつにはなにを言っても無駄」と判断した編集者に対しては上司に報告した上で、「謝罪したい」という先方の申し出を拒否したこともあります。
「なにを言っても無駄」と判断したのは、当方の意見を聞かず怒鳴って修正を強要したり、サインを鼻で笑ったりした編集者。この人とは刊行まで漕ぎ着けることができませんでした。部長を通して「もう二度と俺にかかわるな」と伝え、こちらからかかわるつもりも一切ありませんが、ほかの作家に似たことを繰り返しているならさすがに版元名と実名を出して告発します。※刊行前に交代してもらったため天祢涼の著作を見てもどの編集者かわからないはずですが、念のため一部虚構を交えています。
今回誤植を出した実業之日本社編集部に対しても、当初はかなり厳しい態度を取りました。
ただ、ミスをした担当者はちゃんと謝罪してくれました。これは当たり前のようでいて、そうではありません(実際、誤植を出しておきながら「仕方ないよね」と開き直ってきた編集者もいる)。ミスを出してしまった経緯や、対応に関しても、こちらの納得がいくまで説明してくれました。「今後は同じミスはしないようにする」と対策を具体的に講じてもくれました。
よって、今回の件でわだかまり等は一切ありません。少し先になるでしょうが、先方とは次の仕事の話もさせてもらっています(これも当たり前のようでいてそうではなくて、編集部の責任でミスが出たのに抗議した結果「面倒くさい奴」扱いされて干される……ということもあるのです)。
以上、『どうせ死ぬなら殺してみませんか』誤植のご報告と対応についてのお知らせでした。
『どうせ死ぬなら殺してみませんか』誤植修正版は今月中旬には完成する予定です。3年前に上梓した『拝啓 交換殺人の候』を改稿改題。基本のストーリーは同じですが、一部の展開が完全に差し替えられています。『拝啓 交換殺人の候』を既に読んだ人も、ぜひお楽しみくださいませ。