『彼女が花を咲かすとき』

カバー装画:けーしん
カバーデザイン:bookwall
発売日:2017年12月7日
定価:700円(税別)
出版社:光文社

 

花の街として知られる地方都市・光咲市。花屋「あかり」を経営する榊竜は、客たちから花に詳しい少女・美咲の噂を耳にする。三つ編みの可憐な少女は謎解き名人で、花にまつわるトラブルを必ず解決するというが…。ある科学者が植物に対する画期的な研究を進める中、花に導かれ、少女と人々が絆を結んでいく。切なさと感動が溢れるファンタジー&ミステリー。

2015年8月に上梓した『ハルカな花』の文庫版です。内容を見直した上でタイトルも変更、主人公の名前も「遥」から「美咲」に変えました(正確には連載時の名前に戻した)。帯つきの表紙はこちら。

以下、恒例の裏話。

  • この小説は謎解きが花縛りな上に、これまでの自分の小説ではやってなかったことに挑戦しております。そのため、単行本版刊行時は苦労した記憶しかなく、クオリティーに関しては長らく冷静に判断できませんでした。「自分では全力は尽くしたけれど、うまくいったかどうかはわからない」という小説だったのです。なので文庫化のお話が来たときは「いいのか?」と不安でした。でも単行本版を読み返したら……あ、意外とおもしろい(笑)。というわけで、気持ちよく文庫化に取り組めました。
  • ただ、単行本版では主人公の設定が複雑すぎるというか、「いまなら絶対こんなことはしない」という要素が多々あったので、その辺りを整理整頓。文章に関しても「いまならこういう言葉は使わない」という箇所が多々あったので大幅に改稿。結果、単行本版よりすっきりして読みやすくなったと思います。
  • 光文社の担当さんから文庫化のオファーが来たのは、『キン肉マン』で「オメガマン」という超人が復活した直後(後にオメガマンの双子だったことが判明)。「オメガマンだ! すげえ!!」と盛り上がっているときだったので、このブログでは仮タイトルを「オメガマン」にしておりました。
  • 主人公を「遥」から「美咲」に改名したので、タイトルも変えたい。そう思って担当さんに打診した当初のタイトルは『少女が花を咲かすとき 美咲と五人の迷い人』というポエミーなものでした。でも「長すぎ」ということで、「美咲と五人の〜」は削除。ただ、似たようなフレーズを帯で打ってもらいました。
  • 「少女が花を咲かすとき」だとメルヘンすぎて内容にそぐわないのでは? という話になり、最終的には担当さんが考えてくれた『彼女が花を咲かすとき』に決定。よいタイトルだと思います。
  • カバーイラストはけーしんさん。かわいらしいイラストを描く方なので、受けていただいたときはうれしかった。決定稿とは別バージョンでいただいたラフもかわいくて、担当さんに「光文社文庫初、表紙が2パターンある本にしましょうよ!」とお願いしかけたのは秘密。
  • 完成したイラストは、ご覧のように目茶苦茶かわいい。あまりにかわいすぎて、何度も「本当に自分の本の表紙にこんなイラストをいただいてよいのでしょうか?」と確認してしまいました……担当以外の編集さんにも(実話)。
  • 解説は遊井かなめさん。遊井さんは単行本版を刊行した後、飲み会で「すごくよかった!」と絶賛してくれたのです。前述のように当時は苦労した記憶しかなかったので、早々に別の話題を振って話を打ち切るという暴挙に出た天祢涼ですが、内心では「文庫化したら遊井さんに解説をお願いしよう」と思っておりました。作品への愛情あふれる解説をいただいて感謝m(_ _)m
  • 2週間前に上梓した『透明人間の異常な愛情 ニュクス事件ファイル』はバトルミステリですが、こちらは「ファンタジー&ミステリー」。全然違う雰囲気ですが、どちらも楽しんで書きました。お楽しみいただければ幸いです。