拝啓・物書堂さま〜それでも貴社のエディタを待っています

kawasemi2拝啓 物書堂さま

本日は貴社の4年に1度のお誕生日ですね。2008年2月29日に貴社が設立されてから、今日で8年目。おめでとうございます。

iPhoneの辞書アプリで人気の貴社、私もいくつか使わせてもらっています。「類語新語辞典」は執筆に欠かせません。アメコミを読むときは「ウィズダム和英辞典」を手許に置いております。

しかし、貴社製品で最もお世話になっているのはかわせみ2です。これがなければ小説を書けない!というくらい重宝しています(この記事も、かわせみ2で書いています)。変換効率が気になり、一時期はATOKへの乗り換えも検討しましたが、やはりこの軽さは手放せませんでした。本当にすばらしい日本語入力ソフトです。

ただ、本来ならもう一つ、「すばらしい!」と絶賛したいアプリがありました。

貴社がつくると予告していたエディタです。

「物書堂が作るもの」の衝撃

もともと貴社は、エルゴソフトの解散に伴い、当時の社員の方々が中心になってつくった会社。「Mac のテキストエディタやワープロを作る会社です。iPhone OS 用のソフトウェアも作ります」という一文を読んだとき、私のテンションは一気に高まりました。

その後、貴社のブログ記事「物書堂が作るもの」を読んで衝撃を受けました。開発中の画面キャプチャもさることながら、

ワープロのページ分割は鬱陶しくていやだけど、テキストエディタだと文字組が不満という方のための製品です。無限に続くレイアウトグリッドのようなイメージで考えています。もちろん縦書きもできます。

例えば、「禁則処理のカスタマイズ」や「フルスクリーンモード」など、多くの方がおっしゃっている「できてあたりまえ」的なことは積極的にやっていきます。

この一文に痺れたのです。

当時の私は、作家デビューを目指してInDesignで小説を書いていました。これは京極夏彦さんの真似で、「京極先生と同じアプリを使えば小説家になれる!」という、根拠のない思い込みからでした。

が、貴社がつくっているのはエディタ化したInDesignそのものではありませんか。「物書堂のエディタで書けば、俺も一気にデビューできるに違いない」と、根拠のない思い込みPart2を抱いたものです。「egwordで書いていなかったくせに虫がいい」と言われれば返す言葉もありませんが、InDesignで書いていてもなかなかデビューできず、焦っていたのです(^_^;)

閑話休題。

上記の記事がアップされたのが2008年5月26日。「いつできるかな。年内にはできるかな」と貴社のサイトが更新されるのを楽しみにしていました。RSSで更新通知が飛んでくる度に興奮したものです。

が、周知のとおり、貴社はiPhoneアプリのメーカーになってしまいました。もちろん、それ自体は責められることではありません。しかし私は、エディタをずっと待っていました。

そうこうしているうちにHagoromoが誕生したのです。

理想をほぼ満たしてくれたHagoromo

HagoromoはJedit Xで有名なArtman21社がつくった日本語編集のリッチテキストエディタ。

いまだから書きますが、バージョン1.03くらいまではかなり不安定で、「これ、大丈夫か?」と心配になったものです。とてもじゃないが長編は無理、短編が限界か……と思っておりました。

しかし、Artman21さまは仕事が早かった。

こちらからフィードバックを送ると迅速に対応していただき、どんどん安定性が向上。ブックマークもあっという間に実装。しかも動作が軽くて、書いてて気持ちがいい。

まだまだ不安定なところはあります。直っていないエラーもあります。それでも、普通に小説を書く分には問題ない。そう判断した私は、徐々にInDesignから乗り換えを始め、来月発売の新刊では、とうとう最初から最後までHagoromoで書き上げてしまいました。

『銀髪少女は音を視る ニュクス事件ファイル』表紙解禁!

『銀髪少女は音を視る ニュクス事件ファイル』。3月17日発売です。

このブログでも何度も書いたとおり、Hagoromoはすばらしいエディタです。正直、いま貴社がエディタを出したところで乗り換えるか? と訊かれれば躊躇してしまいます。

それでも出してほしい!

それでも、私は貴社のエディタを使ってみたい。理由はいくつかあります。

まず、Macの日本語執筆エディタ市場が盛り上がってほしいこと。HagoromoやiTextでも充分かもしれませんが、ここに貴社も加わって三国志的に製品を競い合ってくれれば、ユーザーとしては万々歳です。

また、貴社なら、かわせみ2と連動して、なにかおもしろいことをしてくれるかもしれない。

なにより、2008年、貴社のブログで開発中のエディタを見たときの興奮が、まだほのかに残っているのです。RSSで更新通知が飛んできても、もう興奮することはなくなりました。それでも時折、「物書堂 エディタ」でGoogle検索して開発状況を調べてしまうのは、昔の恋が忘れられないから……と言っては言いすぎでしょうか。

もう開発を中止しているのなら

Hagoromoから乗り換えるかどうかはわかりません。でも貴社がエディタを出してくれれば、私は間違いなく購入するでしょう。

iPhoneの普及で、2008年当時に較べて国内におけるMacの販売台数も増えました(たぶん)。これは即ち、Macで物を書く人も増えたということ(きっと)。辞書アプリで貴社の名前はユーザーの間で広まっています。いまエディタを出せば、充分採算が見込めるのではないでしょうか?

とはいえ、マンパワーの問題もあります。既にリリースされたiPhoneアプリのメンテナンスだけでも大変な作業のはず。かわせみ2をつくってるスタッフもたった一人だと聞きました。この上でエディタに着手するのは、現実的ではないのかもしれません。

ならば、いっそ、「開発は中止しました」とアナウンスしてほしい。

何年か前に問い合わせたときには「開発中」とお返事いただきましたが、公開情報は一切ありません。私の知るかぎり、貴社がエディタの進捗状況についてアナウンスしたのは、代表取締役・廣瀬さまのこのブログ記事が最後です。

4周年:Cocoaを飲んで、ほっとして。

4年前の本日の記事です。あれから4年。これを書いている時点では、貴社及び代表取締役さまのブログに新着記事はありません。今日は更新がないのかもしれません。

でもエディタについてなんらかの情報があればいいなあ……と淡い期待を抱いております。

エディタの状況は残念の一言ですが、かわせみ2を筆頭に貴社アプリには大変お世話になっっております。改めて、8周年おめでとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m

書いているうちに感情が昂ぶって、長文になってしまった……(^_^;)
by 天祢涼(あまね りょう)