「本格ミステリー・ワールド」が休刊

南雲堂さんが毎年刊行していた「本格ミステリー・ワールド」が休刊するそうです。天祢涼も毎年寄稿していたミステリー本。出版不況で仕方がないとはいえ、非常に残念です。

「本格ミステリー・ワールド」は、毎年、評論や対談など内容が充実していて、とても読み応えがありました。今回は、その中で自分が取り上げていただいた&関係していた企画を振り返ります。

「読者に勧める黄金の本格ミステリー」

「本格ミステリー・ワールド」と言えば、まずはこれでしょう。毎年、選者の方がその年に刊行されたミステリーの中から読者へのお勧めを選ぶ「黄金の本格ミステリー」。ほかのランキング本と違って投票方式ではないため、決して有名ではない作品が選出されることもあり、顔ぶれがユニークでした。

かく言う天祢涼も「決して有名ではない作品」である『キョウカンカク』を2010年、『都知事探偵・漆原翔太郎 セシューズ・ハイ』を2014年の「黄金の本格ミステリー」に選出していただいております。

『キョウカンカク』

『都知事探偵・漆原翔太郎 セシューズ・ハイ』

特に思い出深いのは『キョウカンカク』ですね。いまでこそ「動機のミステリー」として一定の評価はいただいておりますが、刊行当時は「犯人がすぐにわかる駄作」という酷評も相当いただきました。「批判されてこそメフィスト賞だ」とは思うものの、辛くはあった(^_^;)

それだけに「黄金の本格ミステリー」に選ばれたときはうれしかったなあ。「間違ったものは書いてなかったんだ」と安心もしましたし、ヒロインの音宮美夜を応援してくれる声も耳に届くようになりました。

誰になんと言われようと、「美夜の話は最後まで書く!」と決意した原動力の一つでもあります。

ちなみに『キョウカンカク』は文庫化に当たって、「動機のミステリー」であることをしつこいくらい主張する構成に変更。さらに解説には、「黄金の本格ミステリー」の選者の一人でもある小森健太朗さんにご担当いただきました。

『キョウカンカク 美しき夜に』

「Writers in Season」&深水黎一郎氏と対談

「Writers in Season」は、その年に活躍した作家のグラビアとインタビューのコーナー。天祢涼は2013年に取材していただきました。この年は深水黎一郎さんとの対談も掲載。注目していただいてるからこそ実現したわけで、ありがたいかぎりでした。

『本格ミステリー・ワールド2014』で深水黎一郎氏と対談

まあ、インタビューのときはピロリ菌除去薬を飲んでいて全身おかしかったんだけどね(笑)。決死の笑顔を浮かべて写真を撮られた自分をほめてやりたい。天祢涼VS.ピロリ菌の最終戦争については下記の記事をどうぞ。未だにアクセス数の多い人気記事(?)です。

ピロリ菌三次除菌までいった作家の話

「作家の計画・作家の想い」

「作家の計画・作家の想い」は、いわゆる「来年の予定」です。類似本と較べると作家一人当たりの文字数が多くて(なんと丸々1ページ!)、かなり詳細まで書くことができました。ここで来年の刊行点数を予告して、次の年に何冊出たかを検証するのが自分の恒例行事。それができなくなってしまうのは、本当にさみしい。

このコーナーは、個人的に一番楽しみにしているコーナーでもありました。知り合いがたくさん寄稿しているので、「ほう、来年はこんなの書くのか」「え? あのシリーズの続き出るの?」と、情報をまとめてチェックできたんですよ(完全に読者目線)。これもできなくなってしまうとなると……来年からみんなのスケジュールチェックはどうしよう?(苦笑)

いつか、どこかで復活してほしい

選者の方々による、いい意味での「独断と偏見」で「黄金の本格ミステリー」を決めたり、作家の予定が充実しまくっていたりと、ほかのミステリー本とは一線を画して独自路線を進んでいた「本格ミステリー・ワールド」。残念ながら休刊になってしまいましたが、これだけオリジナリティーがあって、内容も充実した本が消えてしまうのは惜しい。

南雲堂さんで再刊するのか、ほかの出版社に移籍するのか。どんな形であれ、いつかどこかで復活してほしいと思います。

ひとまずは、担当編集者のHさん。長い間お疲れ様でしたm(_ _)m