『少女が最後に見た蛍』

カバーデザイン:増田 寛
発売日:2023年11月15日
定価:1700円(税別)
出版社:文藝春秋


「警察官になったのは、あの子の自殺に責任を感じてるから?」
未成年による事件を次々と解決に導く敏腕女性捜査員の心には
かつて、唯一救うことのできなかった少女が深い影を落としていた――

 神奈川県警生活安全課の仲田蛍は、中学時代の同級生・来栖楓と思いがけず再会する。来栖は当時、桐山蛍子という同級生をいじめており、仲田は蛍子を楓から守ろうと手を尽くしていた。しかし、いじめを終わらせることはできず、かえって桐山を傷つけてしまい、最後は自殺してしまったのだった。
 事の次第を聞いた捜査一課の真壁は、自死の背後に仲田も知らない真相があるのではと感じて調べ始めると、意外な事実が浮かび上がり――(表題作)。

『希望が死んだ夜に』から始まる仲田シリーズ4作目にして、天祢涼通算23作目。今回は人生初の短編集です。仲田蛍の中学生時代のできごとを描いた表題作のほか、「十七歳の目撃」「初恋の彼は、あの日あのとき」「言の葉」「生活安全課における仲田先輩の日常」の計5編を収録。

帯がつくとこうなります。

執筆の理由

もともと仲田蛍という探偵役は、謎を解く「装置」であって、過去や設定を漠然と考えてはいたものの公表するつもりはありませんでした。でも3作目『陽だまりに至る病』を上梓した後、「仲田さんのことをもっと知りたい!」という声を思いのほかいただき、予定変更。もともとのスケジュールや4作目の構想は破棄して、短編集という形で急いで世に出すことにしました。

短編集にしたのは、さまざまな視点人物を出すことで、いろんな角度から「仲田蛍」という女性を描けると思ったから。というわけで本作には、これまで一貫して視点人物を務めてきた真壁巧が一切出てこない話も収録しています。

天祢涼

刊行まで紆余曲折あったので、ゲラを読んだ書店員さんたちから好評の声をいただいてほっとした。

これで「仲田さんの過去問題」には一区切り。また子どもの話を中心にした新作(5作目)を書きたい思いはありますが、スケジュールが立て込んでいるし、境内4作目やMessiah Complex(仮)も書きたいので、どうなるかまったくの未定。

Messiah Complex(仮)が誰を主人公にした話なのかは、最近、天祢涼が参加したイベントで特典を入手してくれた人にはわかるはず!

シリーズ4作目だけど

「シリーズ4作目ということは、いきなりこの本から読むのはだめ?」という質問を時折いただきます。結論から書くと、読んでもらってまったく問題ありません。もともと仲田シリーズは「シリーズを通した黒幕」的な存在がいない、一作ごとに完結する「どれから読んでもらっても構わない」構成を目指しています。

特に今回は短編集で、探偵役の仲田蛍のキャラクターを掘り下げる話。事前に読んだ書店員さんからは「むしろ今作から読んだ方がいいかも」という感想もいただきました。

一方で、「●●の場面は『希望が死んだ夜に』を書いたときから考えていたの!?」という感想もいただいており、シリーズ既読の人ならではの楽しみ方ができる小説を目指した!……つもりです。

既刊作のある人物が再登場する話もあるのですが、気づいてもらえるんだろうか(^_^;)

豆色紙や販促物

『少女が最後に見た蛍』は豆色紙を置いてくださる書店さんを募集しています。

こんな形で絶賛作成中。ご希望の書店員さんは、当方までお気軽にご連絡ください。シリーズ既刊作『希望が死んだ夜に』『あの子の殺人計画』『陽だまりに至る病』と一緒に展開くださる書店さんも大歓迎! ご希望なら、なにか販促物をおつくりします。

ちなみにこの後は、天祢涼史上最長長編『A(仮)』の刊行が控えてます。ただいま原稿を鋭意修正中なのでどうなるかはわかりませんが、こちらもお楽しみお待ちいただければm(_ _)m

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ABOUT US
天祢 涼
あまね りょう
第43回メフィスト賞を受賞してデビューしたミステリー作家です。代表作は次回作。読んだ人の胸を抉るようなミステリー、胸きゅんラブコメなミステリーを世に送るべく日夜模索中。このブログでは仕事情報のほか、MacやiPhoneのネタ、猫写真などをアップしております。