『謎解き広報課』裏話その1(全4回)

「自治体広報紙」とは、地方自治体が住民向けに発行している情報紙のこと。ゴミの捨て方や、町の財政状況などが載っている『広報××』『区報●●』などの冊子を、あなたも一度は見たことがあると思う。あれのことだ。

自治体からの「お知らせ」を機械的に載せている無味乾燥な広報紙が多いものの、中には例外もある。

Aさんが担当する『広報A』も、その一つだった。
Aさんとの出会いは、2006年5月。

当時の私は、作家を夢見てひたすら新人賞に投稿を続けながら仕事をしていた。その過程で偶然出会ったAさんを一言で表現するなら「おもしろくて熱い人」だった。

「自治体広報紙って、読んでもらえないことの方が多いですよねー」

あっけらかんと話しながらも、「だからこそ茶目っ気で勝負!」と、いたずらっぽく笑う。

見せてくれたのが、イカの寿司を表紙に載せた『広報A』だった。子どもを犯罪から守るために警察が考えた標語「イカのおすし」(こちら参照)を取り上げるにあたって、Aさんは「本物のイカのお寿司を載せたらおもしろい」と考えた。そこで寿司職人に頼んで、広報紙のために、わざわざ握ってもらったのだという。

ほかにも、当時流行っていたテレビ番組『トリビアの泉』にちなんで、住民に「へえ」と言ってもらえる、知っているようで知らない街の一面を掘り起こしては記事にする。

「ある先輩が『広報紙は100年経ったら古文書になる』と言ってたんですよ。未来の住民が読んだ時に、当時の街の様子がわかる紙面にしないと」と語るAさんとの出会いが、私の運命を大きく変えた。(第2回に続く)

天祢 涼(あまね りょう)
天祢涼